◆フランス、人口150人の村の3つ星店『オーベルジュ・デュ・ビユー・ビュイ』
L'Auberge du Vieux Puits
=仏フォンジョンクーズ村(Fontjoncouse)=
地元食材で独創料理
【朝日新聞記事より抜粋】
小学校も、商店もなく、人口はわずか150人。フランス南部の山あいの村のレストランが今年、料理界の頂点と言われるミシュランガイドの3つ星を獲得した。地元の農家ともに歩んできた店の、レシピを見た。
仏本土最南端の街ペルピニャンから車で1時間あまり、松や糸杉がまばらに生える岩山のつづら折りをのぼると、フォンジョンクーズ村の家並みが現れた。・・・
普通の民家風
・・・一見、普通の民家だが、一歩入ると、そこは高級家具と現代彫刻に彩られた約50席のモダンな空間だ。調理場では店のオーナー兼シェフのジル・グジョン氏(48)以下、20人近くが腕を振るう。
仏中部ブルジュ生まれのグジョン氏は苦労人だ。・・・
・・・都市部の店を買うには資金が足りず、悩んでいた時、村の物件に出合った。3度の破産を重ねて廃屋になっていたレストラン。買い手を探していた当時の村長と思惑が一致し、1992年に開業した。
ツアー客急増
・・・今回の3つ星獲得で、お客はさらに30%増えた。今や米国や東京などアジアからも美食ツアーの客が多数訪れる。
成功のかぎの一つは、地元産へのこだわりだ。主菜の肉や魚は近くの市場で選ぶ。前菜のトマトは隣村の畑から取り寄せ、デザートのイチジクは近くに自生する木やらもぎとる。高級店の中には、遠方から高級食材を仕入れる店も少なくないなか、産直の新鮮さと身近さをアピールできた。親交を結んだ近所の農家も、良質の食材を届けることで積極的に支援する。
そこに、修行で磨いたシェフの腕が加わる。前菜の売り物は「夏のキノコとトリュフのピュレに乗った黒トリュフの腐敗卵」。実際に腐っているわけではなく、ゆで卵の白身を自らナイフで破ると、腐敗したかのような色の黒トリュフのソースが流れ出て、卓上がトリュフの香りに包まれる、という趣向だ。こうしたアイデアが、独創性を重視するミシュランガイドや、食通の評価につながったようだ。
・・・村も2年前から花を植えたり道路を整備したりと、レストランの評価アップに呼応する形で、振興策に乗り出している。「店は村の誇り。3つ星獲得を機に村のイメージアップにも努めたい」と村長はいっている。
Photo: (c)AFP/REMY GABALDA、Michelin
L'Auberge du Vieux Puits(Restaurant Gilles Goujon) の公式サイト
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