◆フランス・ノルマンディー、『印象派の故郷』を訪ねて!
19世紀なかば、絵はアトリエで描くのが普通だった時代に、進んで戸外に出て、光にあふれる自然を描く画家たちが現れました。印象派の画家たちです。彼らにとって、ノルマンディーの穏やかな光と風景は絶好のモチーフとなりました。きらめくセーヌの流れ、海、空、港のざわめき……。
モネ、ブーダン、ピサロら、印象派の画家たちが愛し、描いた風景を探しに、ノルマンディーを旅してみませんか?
★ル・アーヴル(Le Havre)
印象派を代表する画家、クロード・モネ(1840-1926)はパリ生まれですが、5歳の頃に家族とともにル・アーヴルに移り住み、少年時代を過ごしました。17歳の頃、先輩画家のブーダンに出会い、戸外で制作することの素晴らしさを教えられます。それが画家モネの運命を決定づけました。ル・アーヴルとその周辺の海岸の風景は、彼の生涯のモチーフと なります。
印象派 の誕生を告げる記 念すべき作品『印 象・日の出』は、 ル・アーヴルの港 で描かれました。 1873年、モネ32 歳のときでした。
★エトルタ(Etretat)
海に切り立つ白い断崖の奇観で知られるエトルタ。モネは、故郷ル・アーヴルからほど近いこの海岸を幾度となく訪れ、多くの作品を描きました。ドラクロワ、クールベ、コローらフランス絵画の大家もエトルタにひかれ、作品を残しています。なかでもクールベは、1865年から1873年にかけて何度かエトルタに滞在し、天候によって刻々と表情を変える断崖を描きました。彼の代表的な連作である『波』も、エトルタの海で描かれたものです。
★ディエップ(Dieppe)
19世紀にはパリから最も近い海水浴場としてにぎわったディエップ。ドラクロワ、ルノワール、モネ、ドガら多くの画家が訪れ、港や海、断崖の風景を描きました。印象派の長老カミーユ・ピサロ(1830-1903)は、穏やかな農村風景を好んで描いた画家ですが、晩年にノルマンディーを旅行した際には、ディエップの港やにぎやかな町の様子を描き、新境地をしめしています。
★ルーアン(Rouen)
1892年から1893年にかけて、モネはルーアンでノートルダム大聖堂の連作に取り組みました。30点の連作のほとんどは全く同じ角度から描かれたものですが、季節、天候、時間によって無限に表情を変える大聖堂の一瞬一瞬がとらえられています。大聖堂近くにあるルーアン美術館には、連作のうちの1点『曇天』が展示されています。
★オンフルール(Honfleur)
モネの師で印象派の先駆者とされるウージェーヌ・ブーダン(1824-1898)が生まれた町。ブーダンはほとんど独学で絵を学び、生まれ育ったこの地の海と空の風景を好んで描きました。彼はまた、この町にクールベ、モネ、ヨンキントら芸術家の友人を集め、盛んに芸術論をたたかわせました。多くの画家たちが描いた旧港周辺の風景は、今も絵画的な美しさで訪れる者を魅了します。ブーダンの作品を中心に印象派の作品を集めたブーダン美術館も必見です。
★トゥルーヴィル(Trouville)
19世紀に鉄道の普及でにぎわいはじめた海辺の保養地。着飾ったパリの上流階級の人々が休日を楽しむ風景は、ブーダン、モネらによって描かれました。トゥルーヴィルは今も洗練されたリゾート地としてパリジャンに人気の町です。海辺に続く遊歩道の明るい雰囲気は、印象派の画家たちがキャンバスを立てた100年前と変わっていません。
[アクセス]パリ・サン・ラザール駅から列車で約2時間。Trouville-Deauville下車。
★ジヴェルニー(Giverny)
光と大気、水、雲、霞……刻々と移りゆく自然の様相を描き続けたモネが、最後にたどりついたのが、セーヌ河畔のジヴェルニーでした。1890年には家と土地を購入し、四季折々の花が咲きみだれる庭園と睡蓮の浮かぶ池を自ら設計して造り上げます。彼は晩年の日々をこの家で過ごし、『睡蓮』の連作など数々の傑作を生み出しました。
モネの家と庭園は、現在クロード・モネ財団の美術館となり、花の季節(4~10月)に一般公開されています。淡いピンク色の外壁や内部の家具調度は当時のままに修復され、モネが家族とともに暮らした幸福な日々をしのばせてくれます。モネの死後一時は荒れ果てていた庭も、かつての姿に復元されました。睡蓮の池では、流れる雲としだれ柳が水面に影を落とし、その情景がまさにモネの絵の世界に入り込んだような気分に誘ってくれます。
20世紀の初頭のジヴェルニーには、モネに憧れて多くのアメリカ人画家が集まりました。彼らの作品やアメリカの印象派画家の作品を集めたアメリカン美術館が、モネの家にほど近い場所にあります。
[アクセス]パリ・サン・ラザール駅からルーアン方面行きの列車で約50分のヴェルノンVernon下車。ここから接続のバスで約15分。
情報提供:フランス観光局、ノルマンディー観光局
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