◆ドイツ、ユーンデ村にみる『バイオエネルギー村プロジェクト』
Das Bioenergiedorf Juhnde
バイオマスエネルギーで村の電気と熱供給を全てまかなう!
農村で必要なエネルギー(電気と熱)を、再生可能で、しかも二酸化炭素を排出しないバイオマスエネルギーで全て供給することを目指すプロジェクトです。
農山村に豊富な農林業残渣に加えて、空いている農地でエネルギー作物を栽培することで、必要な資源は地域内ですべてそろえます。それらの資源を、バイオガスによるコジェネ施設と木質チップによる地域暖房施設でエネルギー化する、という構想です。
この構想を実現するためのモデル地域を募ったところ、郡内で17地域が立候補。住民の意欲や資源確保の点から実現性を検討した結果、人口700人のドイツ北西部ニーダーザクセン州南部のユーンデ村が初代バイオエネルギー村に選ばれました。ドイツで最初の試みとなる「完全エネルギー自給のバイオエネルギー村」が誕生しつつあります。
<バイオエネルギー村プロジェクトの概要>
地球に降り注ぐ太陽エネルギーの量は膨大で、全世界のエネルギー消費量の約3000倍もあると言われています。太陽光や風によるエネルギー供給は、条件によって出力が異なることが普及上の課題となっていますが、バイオマスはそれを調節することができ、また貯めておくこともできるのです。そこでゲッティンゲン大学とカッセル大学は、バイオマスを最大限に活かすことで、エネルギーを自給することの可能性を共同で研究し始めました。
バイオエネルギー村の最大の目標は、村内のエネルギー需要をバイオマスによって供給することです。自然に発生するバイオマス(家畜糞尿と間伐材)では足りない分は、エネルギー作物の栽培によって補います。バイオガスによるコジェネ(電熱供給)施設を中核に、冬場の熱源として地域暖房施設を導入します。
限られた農地で、いかに効率的なエネルギー作物を栽培するかが鍵でした。研究の結果、二毛作によって資源量を増やすことと、収穫したエネルギー作物をサイレージにして保存を可能にすることで、最も効率的にエネルギー作物を利活用できることができることが分かりました。
バイオガスコジェネ施設では、発電の際に生じる熱の一部が発酵槽の温度を保つために使われていますが、大部分は熱源として地域に供給されます。熱の需要が高まる冬場は、チップボイラーによる地域暖房施設で熱を供給します。熱の需要が最高潮に達する真冬の数日間に備え、重油またはバイオディーゼルで稼動するボイラーも併設してあります。
情報提供: IZNE ゲッティンゲン大学・循環型社会研究センター
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